当院では白内障手術ついて十分に経験を積んだ専門医が
最新の医療機器を用いて手術を行っています。
動画提供:日本アルコン株式会社
日帰り白内障手術の流れ
手術日決定・手術前検査
手術日を決め、眼脂培養などの眼科的検査・採血などの全身検査を行います。
院長から手術の説明を行います。スタッフから手術当日の説明等も行います。
手術の準備
点眼麻酔を行い、目の周りの皮膚と目を消毒します。
顔全体にシーツをかけ、まぶたに目を開けるための機械をつけます。
点眼麻酔をもう一度行い、手術が開始されます。
手術
術中は上からまぶしい光が照らされますが、まぶしいと感じるのは最初だけです。
手術中は触られる感じはありますが、痛みはほとんどなく、会話もできますので心配なく手術を受けていただけます。
手術は2.4mm程度、角膜を切開し、超音波を使って白く濁っている水晶体を除去し、透明な眼内レンズを眼内に入れて終了です。
手術時間は10分程度ですが、白内障の程度などにより多少の個人差はあります。

点眼による麻酔後水晶体前嚢を切開します

濁った水晶体の中身を超音波乳化吸引して取り除きます

人工水晶体(眼内レンズ)を挿入します

水晶体嚢内に眼内レンズを固定します
手術終了後
リカバリー室で10分くらい休んで、眼帯をして帰宅していただきます。眼帯は翌日の診察後にはずします。
手術終了後の経過は定期的に通院していただき(術翌日、術後3日、術後7日・・・)、経過観察を行います。
眼内レンズについて
単焦点眼内レンズ
白内障手術時に眼内に入れるレンズは、一般的には単焦点の眼内レンズを使用します。白内障手術後は調節機能がなくなるため、焦点(ピント)が合う範囲が1点になります。このため、術後は眼鏡が必要になります。
例えば遠くに焦点が合っている場合には近用の老眼鏡が必要となり、近くに焦点が合っている場合は遠方用の眼鏡が必要となります。
手術費用(片眼:保険診療)
1割負担の方 | 約15,000円(税込) |
---|---|
2割負担の方 | 約30,000円(税込) |
3割負担の方 | 約45,000円(税込) |
高額療養費制度について
医療機関や薬局の窓口で支払う医療費が1か月で上限額を超えた場合、その超えた額を支給する「高額療養費制度」があります。
厚生労働省高額療養費制度を利用される皆さまへ
または、ご加入の健康保険組合、協会けんぽ、市町村(国民健康保険・後期高齢者医療制度)などにお問い合わせください。
多焦点眼内レンズ
単焦点眼内レンズの欠点を補うために登場したのが多焦点眼内レンズです。
多焦点眼内レンズは、遠近両用眼鏡やコンタクトと理論的には同じで、遠中や遠近距離に焦点を合わせることできます。 ただ、レンズの構造が複雑なために、単焦点レンズに比べると、暗所で光が散乱し、光の周辺に輪が架かって見える現象(ハロ・グレア現象)やコントラスト感度の低下(見え方の質の微妙な低下)が起きる場合があります。


多焦点眼内レンズの種類
大別すると「屈折型」と「回折型」の2種類があります。
-
屈折型
レンズ部分に同心円状に遠用・近用と異なる屈折力の部分が交互に貼り合わされている構造が特徴で、遠方を見るのに有意なデザインです。逆に、近方視力を得るには瞳孔径(瞳の大きさ)が必要なので、比較的若い方に向いてます。
- 回折型
同心円上に階段状の段差を持つ構造を持ち、目の中に入る光の回折現象を利用して、光を遠用と近用の2つに分けます。全体に切り込みが入っているため瞳の大きさにあまり影響されませんので、一般的に瞳の小さい高齢者にも安心して使用できるレンズです。
多焦点眼内レンズの比較
名称 | 外観 | 種別 | レンズの 度数間隔 |
焦点数 | 近くの 焦点距離 |
乱視矯正 | 選定療養 | 手術費用 (片目) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
パンオプ ティクス |
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回折型 | 0.5 | 遠・中・近 | 40cm + 60cm |
可 | ○ | 選定療養費用は お問い合わせ ください |
ヴィヴィティ | ![]() |
波面制御型 (焦点深度拡張) |
0.5 | 遠~中 | 66cm~50cm | 可 | ○ | |
テクニス オデッセイ |
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連続焦点回折型 | 0.5 | 遠~近 | 40cm~ | 可 | 〇 | |
テクニス ピュアシー |
![]() |
※屈折型 (非回折焦点深度拡張) |
0.5 | 遠~近 | 50cm~ | 可 | 〇 |
※ピュアシーは同心円上に異なる加入度数が入っているわけではなく連続的に変化しています。
- 選定療養
- 手術費と手術前後の診察・検査・投薬は保険診療になります。
眼内レンズ代は別途必要です。
選定療養について
「多焦点眼内レンズを用いた白内障手術」が、2020年4月1日より厚生労働省の定める選定療養の対象となり、手術費用の一部が保険適用となりました。
多焦点眼内レンズ代は選定療養(自己負担)、手術技術料は健康保険の適用となります。これまでに比べ、患者様の自己負担額が軽減されました。
- 保険適用の割合はご加入の保険により異なります。
- 詳しくはスタッフまでお問い合わせください。
パンオプティクス(Alcon社)

Alcon社(アメリカ)の回折型多焦点眼内レンズです。
独自のENLIGHTENテクノロジーを採用しており、遠方から近方距離(40cm)まで幅広い距離で良好な見え方が期待できます。
また、ENLIGHTENテクノロジーといった高度な光学設計によりコントラスト感度も良好で不快なハローグレアを軽減しています。
高い眼鏡解放率と少ない光視現象のため、多くの患者様に選ばれています。
ヴィヴィティ(Alcon社)

Alcon社(アメリカ)の非回折型の焦点深度拡張型多焦点眼内レンズです。
独自の波面制御(X-WAVEテクノロジー)により、波面を引き伸ばし、同時にシフトさせることで連続的に拡張された焦点を創り出します。
優れた遠方視力と中間視力および実用的近方視力を提供します。
焦点深度拡張型で光を振り分けないので、今まで多焦点眼内レンズのデメリットであったハローグレア、コントラストの低下が単焦点眼内レンズと同程度まで軽減され、患者様の術後の見え方へのニーズにお応えする新たな選択肢です。
テクニスオデッセイ(Johnson&Johnson社)

Johnson&Johnson 社(アメリカ)から「遠くから近くまで連続的に鮮明に見える喜びを」をコンセプトに2024年11月に発売された選定療養の回折型連続焦点の多焦点眼内レンズです。
Freeformテクノロジーによって最適化された光学デザインで遠方から近方(40㎝)までを連続的範囲で視力を維持します。また素材由来の昼夜を問わず高いコントラストとChrom Aline™テクノロジーによって色収差を低減することで自然でシャープな見え方をご提供します。
Tecnis Synergyよりも夜間光視症(ハロー、グレア、スターバースト)の発生を軽減させています。乱視矯正も可能で手術後の眼鏡装用率は低いです。
テクニスピュアシー(Johnson&Johnson社)

2025年6月にJohnson&Johnson 社(アメリカ)から発売された「昼も夜も自然(ピュア)に見える快適さ、鮮やかなコントラスト」がコンセプトで選定療養の非回折型焦点深度拡張(EDOF)眼内レンズです。
Purely Refractive Designにより遠方から中間、および日常生活に必要な近方視力をご提供します。単焦点眼内レンズと同等のコントラスト感度と夜間光視症プロファイルを実現しています。
また残余屈折に対しても高い耐性を持ち、優れた遠方視力は夜間運転などが多い方などにも向いています。乱視矯正も可能ですが近方作業などには眼鏡が必要となる場合があります。
多焦点眼内レンズ手術の注意点
手術中の合併症
水晶体嚢が弱っている場合など、状況によっては多焦点レンズを挿入できないことがあります。その時は単焦点レンズを挿入することもあります。
術後屈折のずれ
挿入する眼内レンズの度数は手術前の検査の結果をもとに予測して決定します。もともと近眼が強い方や遠視が強い方などは術後の屈折値がずれることがあります。とくに多焦点レンズの場合は見え方に影響することがありますので、必要であればタッチアップレーシックや眼内レンズ交換で対応します。
ハロ・グレア現象、コントラスト感度低下
単焦点眼内レンズに比べると暗所で光が散乱したり、光の周辺に輪がかかってみえたりする現象(ハロー、グレア現象)や見え方の質の低下(コントラスト感度の低下)が起きる場合があります。ただ、徐々に慣れてきて日常生活には気にならなくなることがほとんどです。
原因不明の視機能低下
診察上特に問題がなくても「waxy vision」と呼ばれる、かすむ・ぼやけるといった症状が出ることがごく稀にあります。日にちが経過しても変わらない場合は多焦点レンズ不適合として単焦点レンズに交換することで対応します。
詳しくは担当医・スタッフにご相談ください。
また、多焦点眼内レンズは保険適応ではありませんのでご注意ください。