眼瞼下垂手術
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老化やコンタクトレンズの長期使用によって起こる「眼瞼下垂(がんけんかすい)」は手術による治療が可能です。
当院の眼瞼下垂手術についてご案内いたします。

眼瞼下垂パンフレット(PDF)

手術までの流れ

医師の診察

できる限り理想のまぶたに近づけられるように、手術を担当する医師が皮膚の状態や、まぶたの筋肉の機能などについて詳しく診察を行います。
この際、術後との比較のため、写真を何枚か撮影させて頂きます。

手術日の予約、同意書の作成

手術をご希望される場合、患者様のご都合に合わせ、手術日を予約させていただきます。その後、患者様に合った手術法ついて担当医から詳しい説明があります。十分ご納得いただいてから同意書にサインをお願いいたします。

術前検査

手術に備え、感染症や出血しやすい病気をお持ちでないか、簡単な採血検査を行います。

心臓や脳の病気で、抗凝固剤(血をサラサラにするお薬)を飲まれている方は診察時に必ず医師、または看護師にお伝えください。

手術方法

瞼が明けにくくなっている原因ごとに手術方法が異なります。

①挙筋前転法:瞼を上げる筋肉を効きやすくする手術

瞼を上げる筋肉(上眼瞼挙筋といいます)の先は腱膜(挙筋腱膜)という薄い腱になっており、これが瞼の縁にある梁(瞼板)についています。
眼瞼下垂では、この腱膜の部分が緩んでしまっているため、筋肉が梁を上に引っ張ろうとしても、腱が緩んでいるので上がらないのです。
挙筋前転法では、腱のゆるみを取り除くことで、筋肉が引っ張った分だけ瞼がちゃんと上がるようにします。

対象となる方 / 手術後の瞼

この手術は眼瞼下垂で最も多い手術です。
筋肉の機能がある程度残っている方が対象です。
手術の原理上、切開した部分から二重瞼になります。
一重瞼を維持したいという希望がある方は、奥二重気味に調節ができます。

②筋膜移植法:眉毛を上げる筋肉と瞼をつなぐ手術

瞼を上げる筋肉(上眼瞼挙筋)がほとんど動かなくなってしまった重度の眼瞼下垂では、瞼の筋肉だけで目を開けることはできません。
そのため眉毛を上げる筋肉(前頭筋)と瞼の梁(瞼板)をつなげてあげて、眉毛を上げると目が開く様にします。両者をつなげるには伸びない組織として筋膜を移植して利用します。

全く目が開かない方でもこの方法であれば、目を開けることが可能です。元々の生理的な動きとは異なりますが、眉毛を上げる動きは無意識にできるので、わりと自然な瞼の開き方が可能です。
一方、瞬きがし難かったり、下を見たときに上の白目がのぞくなど、一部不自然な動きが生じます。

イメージ:瞼を上げる筋肉
イメージ:眼瞼下垂手術1
イメージ:眼瞼下垂手術2
イメージ:眼瞼下垂手術3
イメージ:眼瞼下垂手術4

対象となる方 / 手術後の瞼

筋肉が殆どまたは全く動かない方が対象です。
手術の原理上、切開した部分から二重瞼になります。
一重瞼を維持したいという希望がある方は、奥二重気味に調節ができます。

③余剰皮膚切除法:たるんで被ってくる皮膚を取り除く手術

瞼をそのものは十分に開いているものの、皮がたるんで被ってくる場合は、余った分の皮膚を切除することで治療できます。
皮膚を切除する部位は以下のいずれかになります。

イメージ:眼瞼皮膚弛緩
  1. 眉毛下皮膚切除

    眉毛の生え際に沿って、その下の部分で皮膚を切除します。
    しっかりとした二重の方であればこの方法が良い適応となります。
    厚い部分の皮膚を取るので、もともとの二重を維持できます。
    皮膚が軽くなる分、若干ですが瞼が上がりやすくなります。
    傷は眉毛の生え際に一致してほとんど目立ちません。
    一重瞼の方でも可能ですが、持ちがやや短くなります。

    イメージ:眉毛下皮膚切除
  2. 二重線部皮膚切除

    二重瞼の折れ込みの部分で皮膚を切除します。
    術後に二重瞼になるため、もともと一重瞼の方や、挙筋前転法と同時に軽く皮膚を切除する場合に行います。
    二重にすることで、再び皮膚が伸びて被ってくるまでの期間を稼げます。
    皮膚を取りすぎると、上の方の厚い皮が残るので、厚ぼったい二重になります。

    イメージ:二重線部皮膚切除

手術後の注意点など

  • 手術終了後、30分~1時間、外来の安静室でまぶたのクーリングを行った後、出血等の問題がないことを確認してからご帰宅していただきます。
  • ご帰宅後もできるだけ24時間はまぶたのクーリングを行なってください。
  • 1週間は激しい運動はお控えください。
  • 入浴は手術翌日から可能です。
  • 抜糸は1週間後の外来で行います。
  • 目元のお化粧は抜糸翌日よりしていただいて構いません。
  • 抜糸後、手術から1か月後、3ヶ月後、6ヶ月後を目安に外来受診、及び写真の撮影をお願いしております。

その他、ご不明な点など有りましたら、形成外科担当看護師にご相談ください。

よくあるご質問

手術スケジュールについて
手術は日帰り、局所麻酔で行います。手術時間は30分~1時間半程度です。術後1週間で抜糸をします。
痛みはありますか?
痛みは局所麻酔の注射の時ぐらいで、術中痛みがあれば適宜追加できます。
術後、麻酔が数時間で切れますが、その後の痛みはさほどありません。
二重になりますか、一重のままが良いです
顔の印象が大きく変わるのではないかと心配される方も多く居られます。
一重または深い奥二重などの場合は、皮が伸びてくると早い時期に視野に被ってきてしまうのと、それが睫毛を下に押して逆睫毛を起こすこともあるため、基本的に二重瞼の状態をお勧めしています。このような希望がある場合は印象を大きく変えないために細めの二重に調整したり、一重を維持する場合もあります。
一回で治療完了しますか?
多くの場合、1回の手術で十分な効果が得られます。
眼瞼下垂に加えて、余剰皮膚がかなり多い場合などは、それぞれ段階を踏んだ2回の手術を行うこともあります。
また、元から無意識に上がっていた眉毛が術後に下がり、新たに皮が被ってくる場合もあり、そういった場合は後日に余剰皮膚切除を行う場合もあります。
腫れますか?
瞼は皮膚が薄いため、腫れが目立ちやすく、局所麻酔をして、切開する以上どうしても一時的な腫れは生じます。
1~2週間でやや腫れぼったい程度までに改善し、その後2-3か月で大部分が退きますが個人差があります。
眼鏡(サングラスでなくて良いです)をかけると見かけ上かなり目立たなくなります。
洗顔、洗髪、入浴はいつからできますか?
翌日から可能です。目の周りを擦ったり、揉んだりはしないようにしてください。
以前に一度眼瞼下垂の手術を受けたらもう手術できませんか?
以前の手術から長期間経過して再び下垂が起こることは実際にあります。
再度手術で治療できるケースが多いです。